開炉には「ぜんざい」

早いもので、十一月もまもなく終わろうとしています。炉のお点前には慣れましたか?
遅ればせながら、開炉につきものの「ぜんざい」についてお話をします。
先月、出雲へ松平不昧公の記念茶会に出向いて参りました。
そこでは頂かなかったのですが、皆が「出雲ぜんざい」を食べたい、等というので「へー」
と思っておりました。

後日、出雲の方から「神在餅」という物を頂きその由緒知りました。
ご存じの通り旧暦の十月は出雲地方では「神在月」(かみありづき)となります。
この折りのお供えとし、また皆で頂く物に「神在餅(じんざいもち)」があります。
小豆を煮た物の中に紅白の餅を入れ供されます。この「神在餅」を地元のネイティブの方が発音すると「ずんざいもち」となるようです。
時は室町時代、かの一休禅師もこの「ずんざいもち」を召し上がったそうで、あまりのおいしさに「善哉(ぜんざい=良きかな)」といったとかいわないとか。
以来京都でも旧の十月に「ぜんざい」を頂き、宮中の「玄猪餅(げんちょもち)」の風習と重なっていったようです。
茶家ではやがて開炉の日として宮中に習い、最初の亥の日に炉を開き、火伏としました。

その後、神在餅と玄猪餅があわさり、お菓子として「猪子餅(いのこもち)」が現れます。

開炉の時期には善哉、猪子餅いずれかが喜ばれるようになっていきます。


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