昨年は災害の多い年でもありました。台風21号は関西地方にも多くの被害をもたれしていました。京都にあんなすごい風が吹いたのは記憶にないくらいです。
千家近くの紫明通りの街路樹がばたばた倒れていましたし、北山の杉も相当数被害に遭ったようです。
そんなことが起こる数時間前まで京都に滞在、台風から逃げるように帰ってきました。
被害を受けたのは、目立った農産物だけではなく、お正月、初釜に使う「結び柳」にも甚大な被害をもたらしたようで、年末にはその手配に追われました。
新潟市は「柳都」と称しています。かつての中心地、古町周辺には多くの堀が巡らされており、その岸辺には桜と柳が植えられていました。堀の名残には通りの名前に、桜は寿命でほとんど見当たらないようですが柳はその名残が見受けられます。
この「柳都」の住民は柳に新年を迎える象徴たる「結び柳」の意義を知る人が少ないのは残念なことです。
しだれ柳を天井近くから長々と床の間の床いっぱいに流して飾ります。長いほど喜ばれるようですがなかなか理想の5メートル超える物は入手が困難です。
街で見かける柳は一見長いようでも枝分かれをし、枝も堅く思うほど長くはないので、ただ枝を落として程度では「結び柳」には仕えません。
天井から畳にとぐろを巻くほどに長い柳は春の芽吹きから丹念に枝を揃え、長くなるように育て上げた物だそうです。
しかしながら天候に左右されやすく、前述の台風や日照りや日照不足でも思うようには生育しません。
新潟は豊かな食材や、自然環境に恵まれすぎ、どうにも「工夫」することがないようです。
取れたての食材がおいしいのは当たり前ですが「よりおいしくする工夫」は少ないといわざるを得ません。自然環境も「ほったらかし」では美しくはないのです。
学生時代を京都で過ごしましたが、北山杉の美しさに胸を打たれ、竹林の整然とした姿に戦慄すら覚えました。全て人の手で調えられているからこそ製品の付加価値も高く、食品としての価値もあり、何より観光資源としての価値は世界的なのはいうまでもありません。
当然、新潟県にも多くの森林が有り、佐渡のみならずとも竹は自生すらしています。しかし新潟の竹は「藪」で生え、京都の竹は「竹林」で栽培されています。この違いはおおきのです。
新潟市も「柳都」と称するからには、その柳も美しく栽培し、全国に「結び柳」を出荷できるような処となってほしいものです。それが観光資源ともなり得るのですから。