国焼茶入
和物の始めである瀬戸の手分けを重々理解した上で名物は別にして「後窯」の「利休」「織部」「宗伯」「鳴海」「正意」や「瀬戸十作」「瀬戸六作」なら理想ですが、たとえ近世の物だろうと、或は現代作家であろうとまずは、第一に「瀬戸茶入」を求めるのはお勧めできます。
但し、現代作家の中では目立った人がいないのですが。
次ぎにお勧めできるのは遠州の指導した窯である「遠州七窯(高取焼、膳所焼、上野焼、志土呂焼、朝日焼、古曾部焼、赤膚焼ぐらいの順で)」の物を探す事です。これらの窯は先に述べたように茶入の中興名物が多く出ています。遠州七窯の中では現代作家でもうまい作家も多くいますし、やや古い手も見つけだすことは容易です。
他に「国焼」として「薩摩」「唐津」等や「六古窯」の「丹波」「伊賀」「備前」「信楽」等を視野に入れることがあっても良いでしょう。
しかし「国焼」として考えられる焼き物の中でも、あえて茶入に用いずとも「茶碗」「花入」「水指」等他の茶道具に多く用いられる「六古窯」の「伊賀」「備前」「信楽」等や朝日焼、古曾部焼、赤膚焼等は求める順位としては後回しにする方が良いと思います。
同じ理由で「萩焼」や「楽焼」の物、唐津でも「絵唐津」、薩摩でも「白薩摩」「献上薩摩(色絵の物)」などはよほどでないと不必要ですし、歴史的に存在しない「高麗物」の茶入などは「物好き」の域かも知れません。
稀に「島物」と呼ばれる「南蛮」の手などの茶入が散見する事が出来、形が端正なら時代も風格も和物に比肩できる物でしょう。
島物の中でも「四滴茶入」にふくまれる形の物や「呉須」や「染付」「安南」「和蘭」「色絵」は濃茶器の範疇ではなく、「替茶器」「薄茶器」として用いるべきでしょう。