現代においてはこれは濃茶茶盌、これは薄茶用、と明確に分けられ販売される訳ではありません。江戸時代には、萩藩で萩焼に明確な規定を設け、濃茶茶盌の一般への販売を禁止していたくらいでした。
ではこれから茶盌を求めるのにはどの様な基準で選んだら良いのでしょうか。
現代では古い時代の筋の良い茶盌より、新作の作家が作った茶碗の方が多く出回ってもいますし、価格も安価であるので(勿論例外もあり十職を始め有名作家の作品の中には非常に高価なものもあります)殊に最初に求める稽古の茶盌としては新作を求める事が多いのではないでしょうか.
まずは樂茶盌
茶湯の世界では「一楽、二萩、三唐津」と称し多くの流儀では茶湯のための第一の茶碗として取り上げられています。茶を飲むのみ最も適した茶碗ともいわれ、本物の楽茶碗は茶人達のあこがれの的です。
ただし、京都を始め、関西各地や金沢などで、現在茶道具としての樂茶盌を制作している窯元は意外と少ないといえるでしょう。
もちろん、当代楽吉左衛門 大樋長左衛門、などは御存知と思いますが、ほかに檜垣青子(桂窯 茶湯・晴山で個展)、後藤紹道(政所窯 茶湯・晴山で個展)十三軒吉向、杉本貞光、小川長楽、中村道年(八事窯)、などは千家出入りの作家さんです。
ほかに作家としては、吉村楽入(京都 茶湯・晴山にて茶盌教室)、中村康平(金沢)、などが活躍しています。勿論「本樂(ほんらく)」と呼ばれる樂家歴代の作品に入門したてで挑戦するのはいささか無謀ではあります。
まずは手頃なものからお求めになってはいかがでしょうか。
お稽古用に、入手しやすい作家としては、川嵜和楽、先の桂窯では、大野桂樂、木津喜楽、京都府下の佐々木昭樂、松樂窯があげられるでしょう。
最初のお稽古から、お弟子さんを教える頃が来てもお使い頂ける、息の長い茶碗となるでしょう。