目的にあった購入法2=茶事・茶会に備えたい
晴山に聞かれるとしたら、「古作の釜に合わせて古い風炉が一番よいでしょう。」とは答えません。
それらの風炉は当然今は生産はしていませんし、この形がほしい、といっても、よほど探さなければ見つからないでしょうし、状態のよいものは値段も張ります。
もちろんお望みならお探しはしますが、そうそう良い物は、釜に比べて極端に少ないといえます。
「古作の釜を新しい風炉に載せて良いのですか?」と思われるかも知れませんが、切合の風炉釜を除けば、「釜に合わせ風炉を作る」ことが本来の姿なのです。
例えば、雲龍風炉は風炉には雲龍の紋は描いてありませんが、その名があるのは「雲龍釜」を載せる風炉だから、ですね。正式には「雲龍釜風炉」なのです。
利休好には「四方釜(よほうがま)風炉」「棗釜(なつめがま)風炉」。少庵に「巴釜(ともえがま)風炉」覚々斎に「達磨堂釜(だつまどうがま)風炉」などがあります。
この様に本来風炉は釜に合わせて造られる物でしたので往時から古作の釜に新たな風炉を添えることは行われていたわけです。
そんなわけで、「釜は古作でも風炉は新作でも良い」という事になるのです。
近世では形状も、個々の釜に合わせるという習慣が減り、おおむね合わせやすい「利休形面取風炉」と「道安風炉」に集約されていきました。大概の釜はこの二つの内どちらかで合わせると失敗はないようです。
おおよそ横からのシルエットが「角張った釜」は丸みのある「面取風炉」。丸い釜には「道安風炉」を取り阿波得ることが多いようです(絶対ではありませんが)。他に正教授の高めの筒釜には「紅鉢風炉」も似合います。最近では瓶掛と考える方も多いようですが、一尺二寸程ある大振りの紅鉢は、釜を掛ける「風炉」です。近年御家元でもその使用が減っていて残念です。
後は大きさの問題ですが、これには大小があります。いにしえは「大きい釜には小さい風炉」「小さい釜には大きな風炉」などと文献にあるようですが、実際はアンバランスです。
釜になった大きさの風炉を選ぶと良いでしょう。
現在、代表的な土風炉師といえば「寄神崇白」「山崎宗元」が知られていますが、いずれも寡作で高価となってしまいました。(いずれの作家さんも茶湯・晴山で取り扱います。)
茶湯・晴山が親しくさせて頂いている土風炉師に伊東征隆さんがおられます。九州、蒲池の地で織豊時代からの窯を受け継ぎ、「黒焼き」の土風炉を作っておられます。
その作品は定評があり、鵬雲斎大宗匠好、繧繝面取風炉も制作しています。
蒲池窯、伊東征隆さんなら、茶湯・晴山をとおしご注文頂ければ、釜に合わせた風炉を制作することが可能となります。お問い合わせ下さい。
最大の特徴は本格的燻焼土風炉ですので、塗料のひびや欠落はありません。
唐銅風炉も近年は原料の高騰から値上がりしています。土風炉との価格の差は小さくなっているといえるでしょう。
作家も多いのですが、お薦めと言ってどの程度迄なのか、難しい問題です。
唐金や鉄の風炉は原則「釜師」が手がけます。
大西の釜に大西の風炉、寒雉の釜に寒雉の風炉は理想かも知れませんがなかなか・・・。
この問題は、後ほど「唐銅風炉」のところであらためてお話しいたします。