表千家
御家元の様子が覗える「歳時記」などの中では風炉の季節も時季に合わせた風炉を用いておられるようです。
初風炉には「土風炉」、普通は「前切唐銅風炉」、梅雨時では「雲龍風炉」、真夏には「朝鮮・琉球風炉」あるいは「透木風炉」、九月天然忌には「鳳凰風炉」を竹台子に中置きで、十月の名残に「鉄道安風炉」といった具合です。
一般のお稽古場でこれほど揃えることは難しいと思いますし、まずは一点、とすれば何がよいのでしょう?
1.「切合風炉釜」をすすめられることが多いと思いますが
表千家のお稽古場に必ずあるのが「朝鮮風炉」または「琉球風炉」ではないでしょうか。
釜とセットになっているので、あれこれ悩まずにすみますし、先生によっては「灰が見えないから」という理由で多用される方も・・・。
近年では電熱器を入れて用いても目立たないし、コードを出す穴も後にあるから(??、それは火窓ですが・・)といった理由もあるようです。
一応、風炉の時期なら年中使っても良い風炉釜ですので、表千家の方はお使いになる方が多いことも事実です。商品に関しては「釜・切合風炉釜」をご覧下さい。
気をつけたいのは「鬼面風炉」です。これは御献茶など特殊な場合に用いますので、表千家の一般の方は用いません。お求めにならないように、ご注意下さい。
これら切合の「鉄風炉」もあります。室町時代(今から約500年前)では唐銅と使い方の区別がなかったのですが、今では正式に用いることは少ないようです。もちろん古作の物(江戸時代など)であれば別ですが。
2.晴山は「五徳を用いる風炉」をおすすめします。
「切合風炉」は「鬼面風炉」のように儀式用として用いられたりしますし、さっきの冗談のような「灰が見えない」ということではなく、「火」が見えないので「真夏」に用いることをお薦めししたいという理由からです。
「唐銅風炉」がよいのでしょうか?
表千家の方は多く「唐銅風炉」を用いることが多いようです。本来「侘茶」では「土風炉」を用いることを旨としていました。この土風炉を式正(しきしょう)な物として考えました。すなわちこれを「真」と表し「正式な灰形」=「鱗灰」を用いることとなっています。
それに対し謂わば「土風炉の写」である唐銅風炉は「行」として扱い、灰形も「押し切り」を施します。ですから、表千家では特別な場合を除き「唐銅風炉」を用いることが一般的になりました。近年は原料の高騰から若干値上がりしています。
「土風炉」を一ついかがですか。
もちろん土風炉がもっとも正式ですから、お求め頂くことはやぶさかではありませんが、鱗灰をするのが決まりです、灰形が熟練してからお求め頂くことをお薦めします。
表千家として稽古にお使いでしたらやはり、唐銅がよいようです。
「鉄風炉」もありますが...
価格面で鉄風炉をお考えの方もいらっしゃるかも知れませんが、表千家でも「極侘び」の風炉として「名残(なごり)」の時期に用いますが、初めての風炉としてはいかがな物でしょうか。
十月用にお考えでしたら「一尺一寸」以上の「鉄道安風炉」をお薦めします。
「了々斎好刷毛目姥口釜」とセットでお使い下りますよう、おすすめします。