茶室の釘
茶室には、役釘と呼ばれる特殊な釘や金具が用いられます。
お部屋を直して、炉壇を入れるついでに茶室用の釘も入れてしまいましょう。
床の間の釘(茶室の重要な空間である床の間にも様々な役釘が用いられます。)
軸掛釘(床の軸を掛ける釘は竹製です。)
床飾りの最も主体となるものは掛軸で,四畳半以下の小間では正面中央上部の壁に,1図のように竹釘を皮目を上にして壁貫に1本打ち,上端に切目を付けてすべり止めにします。 |
床天井に打つ釣花蛭釘
床天井に蛭釘を仕込み諸飾りの場合に鎖を掛け,花入れを釣って花が生けられます。 花入れのなかでも釣り舟の花は出舟,入舟ともに祝儀の花とされ目出度い祝い事の席に使われます。 蛭釘の位置は天井の奥行の中心で、一間以下の床の間では間口の3分の1、下座よりに打ち,それ以上であれば間口の4分の1、下座よりに打ちます。 なお,蛭釘の環先は右に向けます。「し」の字に打つと覚えればよいでしょう。 |
床柱に打つ床柱釘
床柱に花を飾るための柱釘で,草庵の床柱には必ず掛花釘が打たれます。 小間では落掛の下端より1尺1寸より下で,これより高くは打たず,また座敷畳より3尺3寸以上で,これより低くは打ちません. 床枢上端より落掛下端までの約4分の3位の高さが適当で,3尺5寸~3尺7寸が普通です。
正面壁に打つ中釘
正面壁のほぼ中心に打つので中釘と言われ,茶事の場合初座では掛軸ですが後座では中釘に花入れを掛けて飾ることになっています。「花は近いほど高く遠いほど低きに打つ」と伝えられ,床柱に打つ花釘よりやや低い目に,小南では床の間床より3尺4寸~3尺7寸位,広間では3尺6寸~3尺8寸位の高さが適当です.
折釘は掛軸の裏を損じないように抜き差し出来る無双釘を仕込みますが,この折釘は永年使用していると故障することがあり,無双釘を壁下地に固定しておくと取替の際に壁が損じて修理が大層になりますので,5図のように所定の位置に無双釘が入るだけの角穴を作った木座を壁下地に取付け,木口の出は壁の仕上つらとし,壁の上塗後,無双釘を納めます. 穴がゆるい場合は無双釘の外側に丈夫な生漉和紙を巻いて固く差し込んで使用すると後日釘が損じた場合取替が簡単です.
茶室の釘 釜釣蛭釘
釣釜は炉から風炉に変る3,4月頃に用いられ,四畳半以上の広間には鎖で,四畳半以下の小間には自在で釜を炉中に釣り下げるものです。 中柱のある席では,中柱と自在が平行し線が重なるためなるべく用いない方がよいとされています。 釜釣蛭環の仕込方は12図のように必ず天井から下げ振りによって炉の中心を天井に印し,環先を勝手に向けて仕込みます。 割栓は必ず曲げて抜けないようにしておきます。
釜蛭釘は部屋の大きさによって、大中小を使い分けます。
八畳以上広間用
四畳半~六畳用
四畳以下小間用
水屋の釘
水屋には、柄杓、茶筅、茶巾、布巾などを掛けるため竹釘を用います。
数量は、最低でも 柄杓用3本、茶筅用3本、水漉、掻器用に2本、釜据、底洗い用に2本、水屋手ぬぐい、布巾用に2本、座掃用1本の合計13本が最低使用数となります。
水屋は、置き水屋で代行することも可能です。 → 置き水屋へ
柳釘 角用
お正月、初釜に柳を入れる青竹の筒を掛ける釘です。床の間の天井、回り縁から9寸下げて斜め45度に打ちます。隅柱が角柱の時に用いる座が角張ったものです。
柳釘 丸太用
同じく柳を掛ける釘ですが、こちらは隅柱が丸太柱の時に用いる座が丸まったったものです。
丸打掛2.0寸
躙り口の掛け金具です。
露地の中門(枝折り戸など)にも用います。
丸打掛2.5寸
躙り口の掛け金具です。露地の中門(枝折り戸など)にも用います。
稲妻釘 小 栓差
広間の付書院に掛ける 銅鑼・喚鐘吊りに用います
稲妻釘 大 栓差
広間の脇書院に掛ける 銅鑼・喚鐘吊りに用います。
撞木釘 8分
銅鑼の撥(ばい)喚鐘の鐘木を掛けるのに用います。