扇子=席入り、床の拝見、挨拶のときなど、膝前に置き用いる。稽古や茶会などには常に携行し、普段は帯に挿しておき、挨拶の時には自分の前に置き結界としたり、席中では自分の後ろに置 いて使うなど自分のエリアを定める象徴ともされる。
一般(裏千家など)
男性用扇子は白竹や黒塗のものがあります。寸法は6寸の物を用います。
女性用扇子は白竹や塗りかおり、男性用より小振りで、寸法は5寸になります。
表千家では扇子は女性用、男性用の区別はなく黒染の6寸5分の扇子を使用する事が基本です。
石州流では男女とも石州流用の白扇です。形状も茶席扇子とは異なる物を用います。
男性用より小振り
◎ 新年や初釜になぜ、扇子と懐紙を配るのでしょうか?
和紙を張った扇は日本の発明で、両面に紙を張った扇子は、室町時代の頃から現れました。骨の数も次第に多くなり、細工も洗練されてきました。先の方が開いたような形の中啓という形も現れ、これは能楽に欠かせない小道具になり、末広という縁起を担ぐ呼び名も生まれま、この頃から扇子とも呼ばれるようになります。
扇子を権威の象徴とする気風は、武家社会にも引き継がれ、黒い骨に真紅の地紙を張り、金色の日の丸を描いた軍扇が愛用されます。
平和な時代が続いた江戸時代では、昔通りの白扇が殿中扇とも言われて、武家社会の作法に取り入れられています。
和紙を贈り物にする風習は、公家社会に始まり、武家社会にも引き継がれ、「一束一本」とも言われ、武家社会では、杉原紙を愛用したため、杉原紙一束(十帖)に扇子を一本添え贈り物としました。
このような仕来(しきた)りは、やがて茶湯の中にもにも浸透していき、新年などに師匠から弟子に、新しい懐紙に扇子を添え、初釜の引き物とする習慣が生まれたと思われます。