棚・台子・長板 =裏千家をなさっておられる方に
裏千家では歴代御家元が多くの棚物を好まれてこられました。
形も変化に富み、お好みにより、扱いなどを変えられておられます。
あまりに多いので何を選んでよいのか、形状ごとのお好をまとめて見る機会が少なく、お求めになる際の比較がしにくかったようですので、使用方法を形状ごとに分類、お好み、材、塗などをご紹介します。
棚物として
裏千家の棚物は種類も多く歴代ごとに多くの好物が有り、その形状と使い方は様々です。また教科書に掲載される場合も比較的「ランダム」に登場してくるのですが、形状によって整理してみると扱いの方法がわかりやすくなります。まずは形状によって整理してみましょう。
まずは、炉、風炉ともに用いる棚と、炉専用の棚に大別されます。炉専用は後でお求め他方が良いでしょう。
次いで、
①一重か二重か、それ以上か。
②棚板が丸か四角かそれ以外か。
③柱が二本か三本か、四本かそれ以上か。
④柄杓かけの釘の有無。
⑤扱いに関わる腰板の有無。
などが使用法=扱いに関わってきます。
それ以外には、
材質=木地か塗りかなどもありますが、水指を選ぶことはありますが『点前や扱い』には大きく影響をしません。
裏千家においては多くある棚物の好みを理解しご自身の取り合わせに合う棚物を選定することが肝要です。
炉、風炉兼用の棚としてあげられる棚として。
一重棚=天板と地板で構成される棚。地板のない場合もある。
二本柱
1.上下とも板が丸い棚(3)
2.上が丸下が四角い棚(3)
3.上が多角形下が四角い棚(4)
4.上下とも板が四角い棚(6)
三本柱
1.上下とも板が丸い棚(2)
2.上下とも板が四角い棚(5)
3.上がその他の形下が四角い棚(3)
4.上がその他の形下が四角い棚釘あり(1)
四本柱
1.上下が四角い棚釘あり(1)
2.上下が四角い棚釘なし(3)
3.上下が四角い棚 釘あり(1)
4.上下が四角い棚 釘ありその扱いが特殊な棚(1)
5.上下が四角い棚釘なし・向の腰板が高く柄杓を飾る(4)
運びの棚・形状は各種 (3)
計15パターン、40種ほどが知られています。
二本柱 上下とも板が丸い棚
※扱いとしては
1. 水次に片口を用いることで水指を下ろさずに次ぐ事が出来る。
2. 天板は丸なので柄杓を飾るときは天板に陰に伏せて飾る。
利休好 桐丸卓
桐木地丸卓 利休好 稽古物ならリーズナブルが一番 ↓ がお薦め。
茶会を考えるなら、よりしっかりした物をお薦めします。地板の裏に「ハシバミ」が入っています。板は国産高級桐材一枚板です。
元伯宗旦好 一閑丸卓
稽古用ならお手頃が一番です。
鵬雲斎大宗匠御好 潤丸卓(11代元斎 中村宗哲・本歌)
元伯宗旦好みの丸卓を溜塗とし収納しやすく組立式としています。
上が丸、下が四角い棚 (二本柱)
天板の丸は陽=「天」を表し、地板の角は陰=「地」表しています。
この組合せは流儀を問わず多く用いられ、二重棚などにも使われています。
※扱いとしては
1. 水次に片口を用いることで水指を下ろさずに次ぐ事が出来る。
2. 天板の向こう側は丸なので柄杓を飾るときは天板に陰に伏せて飾る。
上が多角形、下が四角い棚 (二本柱)
1.水次に片口を用いることで水指を下ろさずに次ぐ事が出来る。
2.天板は角に準じ柄杓を飾るときは天板に陽に仰向けて飾る。
淡々斎好 寿棚
菊寿棚
昭和天皇の御大典の折に好まれた「菊寿棚」が始まりです。
即位の礼で使用する「高御座」の天蓋の形から八角形の天板がデザインされました。
次いで溜塗、戦後に桑製の「桑寿棚」が同じ意匠で好まれています。
次いで溜塗、戦後に桑製の「桑寿棚」が同じ意匠で好まれています。
淡々斎好 溜塗寿棚
上下とも板が多角形(二本柱)
※扱いとしては
1. 水次に片口を用いることで水指を下ろさずに次ぐ事が出来る。
2. 天板は角に準じ柄杓を飾るときは天板に陽に仰向けて飾る。
上下とも板が四角い棚 (二本柱)
※扱いとしては
1. 水次に片口を用いることで水指を下ろさずに次ぐ事が出来る。
2. 天板は柄杓を飾るときは天板に陽に仰向けて飾る。
淡々斎好 丹頂棚(松擦漆)
鵬雲斎大宗匠御好 平悠棚(黒柿合塗爪紅)
鵬雲斎大宗匠御好 四方瓢棚(桐木地)
三本柱
上下とも板が丸い棚
※扱いとしては
1. 水次に片口を用いることで水指を半出し(地板いっぱいに引き出して)水指の蓋は正面に右手で立てかけておく。
2. 天板の向こう側は丸なので柄杓を飾るときは天板に陰に伏せて飾る。
淡々斎好 蛤卓(桐木地・竹柱)
淡々斎好 豊祥棚(桑木地)
上下とも板が四角い棚 (三本柱)
※扱いとしては
1. 水次に片口を用いることで水指を半出し(地板いっぱいに引き出して)水指の蓋は正面に右手で立てかけておく。
2. 天板は柄杓を飾るときは天板に陽に仰向けて飾る。
淡々斎好 溜精棚(三本柱)
淡々斎好 尚歌棚
淡々斎好 円意棚
鵬雲斎大宗匠御好 山雲棚(溜塗・蒔絵)
上がその他の形下が四角い棚
※扱いとしては
1. 水次に片口を用いることで水指を半出し(地板いっぱいに引き出して)水指の蓋は正面に右手で立てかけておく。
2. 天板は柄杓を飾るときは天板に陽に仰向けて飾る。
淡々斎好 渚棚(杉木地・竹柱)
鵬雲斎大宗匠御好 寿扇棚(板溜塗・松竹梅柱)
鵬雲斎大宗匠御好 桑三成棚
上がその他の形下が四角い棚 釘あり
1. 水次に片口を用いることで水指を半出し(地板いっぱいに引き出して)水指の蓋は正面に右手で立てかけておく。
2. 天板に柄杓を飾るときは天板に陽に仰向けて飾る。
3. 仕覆をや柄杓を竹釘に掛ける。
淡々斎好 瓢棚(杉木地・竹柱)