「花入の薄板」
花入の薄板に関する考え方。
「花入」を畳の床の間へ置く場合、「薄板」が必要です。一通り揃えておけば日頃の稽古でも使え、永く用いることの出来るでしょう。
「薄板」は花入の格に従いいわゆる「真行草」があります。
真の花入には真の敷板。行の花入には行の敷板、草の花入には草の敷板が必要になります。
「真の花入」には「真の矢筈板」などを用います。
唐銅など金属製品、青磁、染付、交趾など唐物系の「磁器の花入」などが上げられます。(詳しくは講座を参照下さい。)
真の薄板=矢筈板(燕口)
先に述べた真の花入には真の敷板すなわち「真塗矢筈板」を用いるのが基本となります。
花入に従った薄板を揃えましょう。
※三枚組になったものと同様です。
利休形ともいわれます。
唐銅の花入に「曽呂利(ゾロリ)」と呼ばれる物があります。講座でもお話をしましたが確固たる定型はないようで、細口、鶴首のたぐいを指しています。
これらの花入に「曽呂利盆」を用いる事があります。古式ゆかしい雰囲気を醸し出す格式高い花入用の盆です。唐銅のみにお使い下さい。・青磁・染付など「真の花入」でも陶磁器の物には用いませんし、大振りな物にも不似合いです。
「行の花入」は国焼などの「施釉陶器の花入」です。
唐津焼、瀬戸系の瀬戸、志野、織部など、ほかに遠州七窯(高取焼、朝日焼、志戸呂、膳所焼、赤膚焼など)がこれらに含まれます。
高麗系、オランダなどもこの範疇に含まれると思います。
「行の花入」には「塗物の蛤端板」を用います。
行の花入には行の薄板=「塗の蛤端板」を用いますが、「真」の場合と違い真塗以外も用います。一段侘びた風情の「柿合塗」や「溜塗り」のものもお薦めです。花入の色合いお部屋の雰囲気、取り合わせなどで選ぶことが出来ます。花入に従った薄板を揃えましょう。
※三枚組になったものと同様です。
「草の花入」は無釉の焼締め陶器や竹花入です。
無釉焼締め陶器の中には国焼の信楽、伊賀、備前、丹波などが上げられます。ほかには南蛮焼締などもその範疇でしょう。
施釉陶器に当たりますが「楽焼」系統もこれに当たるとされます。
これ以外に「竹花入」や「瓢」の花入もこれに相当します。
「籠の花入」も草の花入ですが「薄板」は敷くことはありません。
「草の花入」には「木地の蛤端板」や「丸香台」の他の御好板などを用います。
草の花入には草の薄板を用いますが、流儀により用いやすい物とそうでないものがあります。
「裏千家」の場合は主に「木地の蛤端板」を用います。
杉の中心部である「赤身」は水に強いことで知られており、この部分を用い蛤端板を造ります。
ほかにその材を焼いて用いる「焼杉蛤端板」なども同様です。木目を尊重しよい木目の物が選ばれます。当店では店主が厳選、お値打ちな板を提供いたしております。
表千家の方も「備前焼」「信楽焼」などの花入に十分露を打ち使用する際には用います。
竹花入などは濃い意色の板が望まれるようですが、こちらを用いる方がよいと「『茶之湯道具寸法図解』」にも記載がありました。
それでもという方は「焼杉の蛤端板」や「淡々斎好糸巻板」はいかがでしょうか?
同じく草の薄板である「丸香台」は用いないわけではありませんが「表千家」の好物も多く、そちらのイメージが強くなると個人的には思います。
決して使わないわけではなく「楽の花入」などには丸香台も良いでしょう。
※三枚組になったものと異なる上級品です。
季節に関係なく使えます。
「表千家」の場合は主に「丸香台」を用います。ただ、なお一般のカタログによく見かける三枚組薄板にある「塗の丸蛤板」はセットにしたときの職人による所産です。
基本使い道がありません。(※この項目の真塗三枚組は丸香台でセットしています。)
表千家歴代の好物も多くあります。表千家では基本、木地の蛤端板は使いません。
利休形ともいわれます。
セットでお求めの場合にも流儀に考慮しましょう。裏千家と表千家ははっきりしているので下記に従ってご選択下さるとよいでしょう。
ほかのお流儀に関しては、利休形を中心にスタンダードな物から選択して下さい。
裏千家の方はこちらをどうぞ。
※木地は(普及品薄い物)でセットしています。
表千家の方はこちらをどうぞ。
※丸香台は黒柿合塗でセットしています。
表千家の方は上記の物か
茶湯・晴山特選 真塗 矢筈板(化粧箱) 商品コード:usuita001
茶湯・晴山特選 溜塗 蛤板 商品コード:usuita002-1
茶湯・晴山特選 桐・溜柿合塗 丸香台(化粧箱) 商品コード:usuita004
を順次お求め頂くのよろしいかと存じます。