「真」の花入には真塗の「矢筈板」、または「燕口板」を用います。
板の縁が矢羽の後の部分のように∑状になっているものが矢筈板、上の部分が嘴の様に出ているものが燕口板です。現在出ているものは燕口板がほとんどですが総称して「矢筈板」と呼んでいます。
燕口板の場合必ず広い方が上になるようにします。受け口の燕はいない、と覚えておくと良いでしょう。
外に唐銅の鶴首などに「四方盆」や「曽呂利」の花入に添った「曽呂利盆」などを使う場合があります。盆に関しては石州三百箇条にも記述が有ります。
「行」の花入には塗の四角の「蛤板」を使います。板の縁が蛤のように⊃状になっているところからの名称です。塗は真塗、掻合、黒、溜塗なども問いません。
「草」の花入には四角の「木地の蛤板」か「丸香台」を使用します。焼締めの花入などは木地の方が似合います、が流儀により、どちらかを多用するようです。
「楽の花入」には丸香台も良いでしょう。なお一般にある「丸の蛤板」は塗り物をセットにしたときの職人による所産です。
また、草の花入である「籠の花入」には板を敷きません。これはある利休の高弟(織部という説があります)が利休を茶事に呼んだ際、籠の花入を直接床の上において花を入れたのを見た利休が「前々から私もそのようにしたいと考えていましたがあなたが先にされた、私も以後籠の花入は板を敷かずに使いましょう。」ということで板は敷かなくなりました。
これらの薄板はあくまで床の間が「畳床」の場合に限ります。「板床」に板は二重なりますので用いません。
板床の場合、客が席入りする前にはしっとり濡らして花入を用います。