④石州流の伝承方法の特徴を知り新たに考察を加える。
石州流では多くの流儀が行う世襲制度による家元制を取らず、
奥義伝承の後は分派伝承が可能な相伝方式をとりました。
以後三百五十年余、多くの流派に分派俗に
「石州百家」とも云われるようになりました。
「世襲制度による家元制」はその伝承や
許状発行権の独占などを家元の集中させる為、
すべての相伝を行わない「不完全相伝」と呼ばれるのに対し、
石州流の伝承方法は「完全相伝」とも呼ばれ、
多くの分派が生まれることとなりました。
伝承の自由があることは新たな創意工夫が生まれることともなった一方、
正確な伝習がなされる可能性は極めて低くなったといえるでしょう。
故に「石州百家」それぞれの点前が存在し
「石州流」と一口に云っても全く違う点前をすることとなっているのが現状です。
今現在存在し伝承されるに至った過程を正しく理解し、
良い点は勿論、「不都合な点」も隠すことなく伝えることにより
よりよい伝承を目指す「石州流茶道」として個々研鑽することを目標としましょう。