③茶事を基本として点前をする。
石州流のみならず全ての茶湯は「茶事」を根本として成り立つことを明示し
それに基づいた点前のあり方を考察する。
石州流に限らず、なべて今の世の茶の湯は「茶会優先」の風俗が蔓延しています。
薄茶が出来れば点前が完成したかのように「大寄せ茶会」を持つことが
茶人のステイタスのように感じられているのが現状です。
実際の茶湯は「茶事」という少人数で行われる茶会を基本の形態とします。
その構成には「初座」と「後座」、
その初座では「懐石」と「初炭」が行われ「中立」と呼ばれる
インターバルの後「濃茶」「後炭」「薄茶」と大まかにいうと行われます。
利休は初座、後座共に「同じ部屋で催す」ことを侘茶の旨とし、
別席で行う「動座」を嫌っていたようです。
利休の茶を理想とする実際の石州公の茶会には
「小堀遠州公」の影響を受けた「柳営茶の湯」の立場上、
鎖の間などへの動座はやむをえず、行った記録は数多く存在し
それを論拠に「石州公の茶」と称することも可能でしょう。
しかしながら「一座一室の茶」は石州公の心境に叶う物と考えられます。
さなくば、「元伯宗旦に侘茶なし」とは宣えないでしょう。
石州公の侘茶を継承する者として
「一座一室」「茶事優先」を旨とする茶湯を心掛けたいと存じます。
よって、我々の行う全ての点前は「一座一室」の原則を踏まえた
「初座」と「後座」、その初座では「懐石」と「初炭」が行われ「中立」の後
「濃茶」「後炭」「薄茶」の姿を踏襲し点前を考える事を基本とします。
すなわち全ての点前は「初炭」をして「濃茶」を行い「後炭」をした後「薄茶」をさし上げる順序で行われる、と考えます。
ですから「長板六段」の各点前全てには、長板ので行う「初炭」が有り「濃茶」があり、
濃茶が終わった姿で行う「後炭」があったうえで「薄茶」が存在すると考えましょう。
またそのカリキュラムで「薄茶」しか無い点前、
逆に「濃茶」だけの点前の場合、果たしてどの様な
「濃茶」や「薄茶」が存在するのかも考慮していきます。