石州流を学ぶ人のための茶道具基礎知識6 茶室・床の間
「茶室」は、四畳半構だけでなく、台目構や小間の席でも行うことが出来ますが、まずは四畳半構(八畳など広間を含む)で行うものを習得します。四畳半構(広間)は点前座と踏込畳が別の茶室です。必ず、「踏み込み畳」と「点前畳」を分けてお稽古をしましょう。
古書によると、濃茶を主と考え、それに対して薄茶は「重ねて進める茶」の様な意味合いと考えています。また、薄茶と濃茶は、点前や飲み方においてもおおよそ同様ですが、濃茶に比べると、やや、簡略化した物といえるでしょう。
床の間の道具組
ここでは、点前順序は省き、個々の点前は何を目的として、また、どのような道具組で点前をするか説明をしていきます。
揃える道具も利休形を基本とし、「流祖片桐石州公好」があれば求めたいものです。
1. 掛物
中国を中心とする東アジアでは絵画や美術品としての書は、軸装され、季節やその席に主題に相応しい物に「掛け替える」という鑑賞方法をとりました。
日本でも仏教の伝来とともに掛物は伝来し、信仰の対象として始まり、南北朝以降、唐物の流行とともに美術品として絵画を中心とした掛物が輸入され鑑賞の対象としても用いられるようになり、「掛物を飾る場所」としての「床の間」を生み出します。
利休居士が南方録に「掛物より第一の道具はなし」おっしゃている様に、一席に於いて最重要ポイントであり、その日の主題を決定するものが「掛物」です。
「掛物」は特別な決まりはありませんが、茶席に相応しい格のものがよいのは勿論です。
茶道の精神は茶禅一味などといって、その全てとはいいませんが禅によって解釈されてきた物ですから先ずは少し勉強するつもりで、一行書の語句から理解を初めてはいかがでしょうか。
最近は禅語の解説書も数多く出回っておりますので、それらを参考に自分の心境にぴったり合う語句を心に止め、その語句の書かれた物を捜す、あるいは書いていただくといった態度が一番望ましいように思います。
大徳寺歴代管長の軸は特に珍重され現在もなお、茶禅一味の総本山の寺として、慕われています。
まず、茶の湯に向く掛物として「大徳寺物」と呼ばれる「大徳寺の禅僧」または「大徳寺派の禅僧」の掛物があると良いでしょう。
2. 花入
床の間の道具として床を飾るのは初座では軸であり後座は花入がその主役に代わります。
茶事において花入は、多く床の間の壁中央に掛けられ、あたかもそこに自生し花を咲かせたかのような花が入れられています。
花は茶事に登場する事物の内で唯一の生物、命あるものです。この自然のめぐみを茶湯は受けとめて、茶湯演出に重要な一役をあたえている欠かすことができない存在です。そして日本では一年中、様々な「茶花」を入れまたそれを楽しむことが出来ます。(ちなみに「茶花」という言葉はどうやら近代になって創作された言葉のようです。)
「花入」も真、行、草、の格、何れのものでも良いでしょう。花も花入に合わせたもので相応しく活けられれば良いでしょう。四畳半構の茶室の床の間は基本的に畳床です。
真の花入=唐銅・青磁・染付ほか
行の花入=国焼
草の花入=焼締陶器
草の花入=竹花入
草の花入=籠花入
真行草に花入に合わせた「薄板」を敷きましょう。