茶入
点前の道具でやはり第一に上げなければならないのは「茶入」でありましょう。入門し徐々にお稽古が進み「濃茶」の点前な入ると少し成長した気になりませんでしたか。
濃茶のお稽古にも茶入を揃えてみたいものですが、どんなものがよいのでしょうか?
お稽古に使うための茶入を求める方法としては「本歌」をよおっく理解した上で「写」の茶入(これも同様に、たとえ近世の物だろうと、或は現代作家であろうと)を求める事もお勧めします。
避けなくてはいけないのは何焼とか何々の窯と表現していいか分からないような作品や、見立てに当たるものなどです。
お稽古にはそのお稽古に相応しいものから揃えるのが一番です。添える「仕覆」にしても本歌の茶入に添ったものや「名物裂」のはっきりした名称のある写しの物を選ぶべきかと思います。着物もその中身の品格を表すものになるからです。
「蓋」も出来るだけ「象牙」の物をお薦めします。永年の間に変色して風格が加わるのが特徴です。
形状も唐物の手分けを基準に「小壷」「肩衝」「雑」に大きく分けます。
「小壷」には「茄子」「文琳」「丸壷」「瓢箪」等があります。「肩衝」「大肩衝」「小肩衝」に大別されます。
「小壷」「肩衝」に含まれない物を「雑」とし様々な形状があることは知られていますが、「大海」「塁座(るいざ)」「鮟鱇」などがこれらに含まれます。
一般には「肩衝」が使いやすいようですが、唐物では「小壷」を上位に据え取り分け「茄子」ついで「文琳」に重きを置きます。和物であっても「小壷」もあり、肩衝茶入と同様にお使いになれます。また「小壷」「唐物」の蓋は「瓶子蓋」の物と勘違いをされている方も多いようですが、実際の唐物でも「瓶子蓋」はほとんど見受けません。お稽古での扱いを習うため使用したのが一般化し、「小壷には瓶子蓋」となってしまった最近の事です。
時代の物には「雑」に含まれる物が多く存在しますが、和物であれば薄茶器に準ずる物となり、濃茶で用いる場合は「侘びた風情」で用いると良いでしょう。