棚・台子・長板 =表千家をなさっておられる方に
表千家では歴代御家元が、利休好を基本として棚物を好まれてこられました。
形は同様ですが。お好みにより、材質、塗などを変えられておられます。
形状ごとのお好をまとめて見る機会が少なく、お求めになる際の比較がしにくかったようですので、形状ごとに、お好み、材、塗などをご紹介します
丸卓=表千家で使用する丸卓には以下のものがあります。
桐木地丸卓 利休好み
溜塗丸卓 啐(口偏に卒)啄斎(そったくさい)好み
松の木摺漆丸卓 惺斎好み 大正十年 駒沢利斎
一閑青漆爪紅丸卓 惺斎好み
丸卓は炉・風炉共、用います。表千家の場合は、小さい足が三つついているので、炉の場合は足一つを前にして置き、風炉の場合は足二つを前にして飾ります。
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茶会を考えるなら、よりしっかりした物をお薦めします。
地板の裏に「ハシバミ」が入っています。板は国産高級桐材一枚板です。
松の木摺漆丸卓 惺斎好み
一閑青漆爪紅丸卓 惺斎好み
※総体が青漆一閑仕上げ。天板に面朱。柱に付いた羽根の小口も朱がほどかされています。本歌は昭和三年、飛来一閑の作です。
元伯宗旦好 一閑丸卓
表千家では、あまり登場しない棚ですが、れっきとした元伯宗旦好。棚物のバリエ-ションに加えて下さい。
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二重棚=表千家で使用する二重棚には以下のものがあります。
三重棚から考案された物で、二段の棚に四木柱があります。地板はある物と無い物があり、無い時は水指は運びになります。扱いは三重棚と全く同じです。
吸江斎好み | 溜塗 | 二重棚 | (地板なし) | |
碌々斎好み | 杉木地 | 糸巻 | 二重棚 | (地板なし) |
碌々斎好み | 桐木地 | 糸巻 | 二重棚 | (地板なし) |
碌々斎好み | 一閑青漆爪紅 | 糸巻 | 二重棚 | (地板なし) |
惺斎好み | 春慶塗 | 二重棚 | (地板?) | |
惺斎好み | 桐木地 | 糸巻 | 二重棚 | (地板なし) 大正四年 駒沢利斎 |
惺斎好み | 桐木地 | 糸巻透 | 二重棚 | (地板あり) 昭和十年 駒沢利斎 |
惺斎好み | 一閑青漆爪紅 | 糸巻透 | 二重棚 | (地板?) |
惺斎好み | 寄木 | 糸巻透 | 二重棚 | (地板あり) 昭和七年 駒沢利斎 |
(二条城や桂離宮の古材でつくつたものです) | ||||
即中斎好 | 溜塗 | 鱗鶴透 | 二重棚 | (地板あり) |
即中斎好 | 溜一閑 | 鱗鶴透 | 二重棚 | (地板なし) |
即中斎好 | 壺々透 | 二重棚 | (地板なし) | |
即中斎好 | 竹張 | 二重棚 | (地板あり) |
●飾り付け
二重棚には地板のあるものとないものがあるので、地板のある場合は水指を地板に飾り付け、地板がない場合は水指を運んで用います。
碌々斎好み 一閑青漆爪紅糸巻二重棚 (地板なし)
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即中斎好 一閑鱗鶴透二重棚 (地板あり)
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限定10本
而妙斎好 溜真塗 壺々透二重棚 (地板なし)
本品はお稽古用として地板を取り付けて扱うことも出来ます。
而妙斎好 竹張り二重棚 (地板あり)
即中斎好 好日棚
四方棚
表千家で使用する二重棚には以下のものがあります。
四方棚は二本柱の棚で、台子を半分にしたような形なので、半台子ともよばれています。幅の広い炉用物と、小振りな炉風炉兼用の小四方棚があります。扱いはいずれも同じです。
利休好 | 桐木地 四方棚 (角があるもの) | (炉用) |
江岑好 | 桐木地 四方棚(四方が丸いもの) | (炉用) |
惺斎好み | 松の木摺漆 四方棚(四方が丸いもの) | (炉用) |
惺斎好み | 青漆爪紅 四方棚(四方が丸いもの) | (炉用) |
而妙斎好 | 真塗桐木地 四方棚 (角があるもの) | (炉用) |
而妙斎好 | 溜爪紅四方棚 四方棚 (角があるもの) | (炉用) |
碌々斎好 | 榎木木地 小四方棚(かどの丸いもの) | (兼用) |
即中斎好 | 溜爪紅一閑 小四方棚(かどの丸いもの) | (兼用) |
桐木地四方棚(かどがあるもの) 利休好み
桐木地四方棚(かどの丸いもの) 江岑好み
真塗四方棚(かどがあるもの) 而妙斎み
而妙斎宗匠が初めて好まれた棚で、利休好を真塗にした、立派なものであり、炉のみの使用となる。
小四方棚
一閑溜爪紅小四方棚(かどの丸いもの) 即中斎好
一閑溜塗爪紅、板の上面はへギ目をとり、組立式になっていて持ち運びに便利である。
これは炉、風炉とも用いる。
高麗卓
四本柱で、高麗台子を横半分の大きさにした形。(ちなみに裏千家の伝承とは異なっています。裏千家・高麗卓)
一閑黒高麗卓 宗全好み
真塗高麗卓 鴻池宗知好み
一閑溜布張高麗卓 惺斎好
一閑青漆爪紅高麗卓 惺斎好
元伯宗旦好 高麗卓
真塗高麗卓 鴻池宗知好み
江岑棚(こうしんだな) 覚々斎好み
覚々斎好‥江岑の好みである三木町棚を俗に江岑棚ともいうが、同系の総桐木地、覚々斎好みを、江岑好みと同系であるところから江岑棚という。引出しの摘みは桑である。扱いは三木町棚と全く同様である。
溜塗 江岑棚 即中斎好み
小卓
桑小卓は裏千家仙叟宗室が香炉の棚に好んだものを、如心斎が茶の湯の棚に用いたといいます。 細く背の高い棚なので、風炉に置き合わせて用います。
地板の上の棚板に水指を飾り、地板とすぐ上の棚枚との間に建水を飾ることがあるので、この棚の場合は平建水を使用するのが決まりです。
桑小卓 如心斎好み
秀吉の小田原攻めの陣中に利休が携えたと伝えられる棚で、名称のとおり携帯用に考えられたもの。正面のけんどん蓋をあけると、二段の棚板があり、棚板は取り外すことができるようになっています。 炉用
抱清棚 (ほうせいだな)
利休形道幸の二つ切りの寸法から吸江斎が好まれたもので、桐木地。左右にえぐった足、向こうの見付に香狭間透しがあり、中の棚板は取り出すようになっており、取り出して旅箪笥のように芝点の点前をすることもできる棚です(扱いも旅箪笥と同様)。地板がないから水指は運びになる。炉、風炉ともに用いる。左側の板に竹釘があって柄杓や濃茶の袋をかける。
好文棚 (こうぶんだな) 溜塗好文棚 惺斎好み
一重棚の変型で三角になっており、碌々斎の好みに木屋町棚というのがあるが、この棚は引出しをはずして用うるときがある。このときの形をそのまま生かし、大正十一年十二月一日の北野天満宮の献茶の節、北野天満宮に因んで、木屋町棚の香狭間透しを梅の花透しにかえられて惺斎が好まれたものである。梅の異名を好文木というところから好文棚と名付けられた
山里棚は、大坂城内の山里の席で利休がこれを好んで用いたことからその名があります。のちにこの棚は薮内剣仲に贈られたので、同流では、代表的な水指棚とされました。
大侘の風情の棚で、土ものの水指が好もしく、これに霧など吹いて用います。
武野紹鴎好の溜脱色塗の二重棚。左右の板には上下に大小の香狭間透かしがほどこされています。もとは水指棚と呼ばれていましたが、小堀遠州好の水指棚ができたため、紹鴎水指棚と呼ばれるようになりました。水指のみを置く小棚の最初のものといわれています。 風炉、炉ともに流儀を問わず用いることができます。
武野紹鴎好の大棚。紹鴎袋棚ともいい、槍材の春慶塗、地板の上に白の鳥の子張りの引き違い戸のはまった地袋がつき、その上に四本柱が立って天板がのっています。引き違い戸の緑には紹鴎鍛子の裂地をまわし、金具の摘み引き手がついています。
炉のみに用い、地袋の客付きに水指を入れます。
利休好の大棚。利休袋棚ともいい、志野流の香道の開祖志野宗信所持の棚を利休が好み直したものです。桐木地で、倹餓蓋の地袋が左下につき、右の中棚は違い棚になっています。違い棚と地袋の上との間に香狭間の透かしがほどこされています。
炉のみに用います。
裏千家では天板中央には板文庫、料紙、碗酢などを削り、地袋は点前には使用しません。
この棚は収納場所が大変な炉の大棚でも、コンパクトに仕舞える工夫がなされています。
1,袋棚を片付けます | 2,倹飩の戸を外します | 3,天板を外します |
4,四隅の柱を取ります | 5、中板を外し倹飩板をずらす | 6,全てが畳まれた状態に |