年次計画
茶湯は一生つづけられる趣味といいましたが、
どれぐらい習ったら一区切りなのか、
というせっかちな方もいらっしゃるでしょう。
とあるカルチャーセンターにお茶を習いに来た生徒さんが、
初日、先生にいきなり
「お茶の先生になれるには何年ぐらいかかるのですか?」
と聞いたそうです。
その先生の答えはここでは伏せておきますが、
皆さんならどう答えるでしょうか。
もちろんお茶の先生を目指して入門される大変
たのもしい方には違いないのですが、
慌てて道具は揃えなくともよい、と書きましたが、
茶湯はまずその習得に長い年月も必要なのです。
茶道の流儀で教える点前を一通り習得するには、
一般 的な稽古場では早く見積もっても7.8年は掛かるでしょう。
それを教えるとなれば、15年程度通ってからというのが
最短でも必要ではないでしょうか。
そんなに待っていられない(?)方には「専門学校」もあります。
こちらは3年で必要なカリキュラムは一通り習得することが出来ます。
しかし、いざ教えるとなると、
教える場所、道具など、様々な条件も必要です。
それを卒業と同時に揃える、というのも大変でしょう。
ここはまず、時間が掛かることを逆手に取って、
じっくりと一つずつ修練の過程に添って、
無駄なく、無理なく揃えていきましょう。
ここでは晴山がおすすめする、期別に揃えたい道具をまとめました。
第0期=稽古に通う。→入門し稽古にゆくために揃えたい持ち物。
第一期=お茶を点てたい。
入門し、薄茶点前を学ぶ、半年から1年ぐらいにまでに揃えたい道具。
第二期=自宅で復習。
濃茶点前から他の点前に進み、始めてから2.3年目頃までに揃えたい道具。
第三期=お茶を楽しむ。
始めてから4.5年。茶湯を楽しく続けたいな、と思ったら揃えたい道具。
第四期=お茶室計画。
自宅で通年で茶湯を楽しみたい。茶湯が出来る部屋がほしくなったら。
第五期=お茶会にいる物。
5~10年。社中の友達(先生)をお呼びするころまでに、揃えたい道具。
第六期=お茶を教えたいかも。
人に教える事も楽しいかも。と思いだした頃に揃えたい道具。
第七期=教え始めたら。
という具合に考えてみました。
それぞれ段階を追い揃えていくと、
自然目標に無理なく到達することが出来ると思います。
第0期=入門し稽古にゆくために揃えたい持ち物。
「茶の湯稽古始め」(茶の湯点前稽古の始めかた)
入門・お稽古に行き始めたら(稽古は点前から 習うより慣れる)
茶湯の稽古というと、点前、というイメージが強いと思います。
入門すると、お茶をいただく稽古に始まって、割り稽古(部分的な稽古)から点前の稽古に進みます 先輩たちの流れるような美しい点前にあこがれても、なかなかすぐには思うようにいきません
稽古では、やはり美しい点前を身につけることが、第一番の目標です。 まずは「習うより憤れろ」に徹しましょう。 とにかく理屈抜きで美しく、スマートな所作を体に覚えさせることが、上達の一番の早道といえそうです。
流儀ごとにわかりやすい教本やテキストも出版されています。お稽古の手助けにまずは一冊用意されたらいかがでしょう。 《おすすめはこちら》
まずは持ち物から揃えましょう。
茶湯の稽古に通うには、一通りの携行品(=懐中品、帛紗、懐紙、扇子など)は揃えられたと思います。
かつて存在した大規模茶の湯カルチャー教室ではこれらの物まで貸し出し、手ぶらでお茶の稽古を謳っていましたが、これでは茶湯を嗜んだ一つの証、茶会へも行けません。高価な物でなくとも、まずは一通り揃えてみましょう。
お稽古を始めるために必要な物には、帛紗、扇子、懐紙、菓子切、古帛紗、出帛紗、帛紗挟、数寄屋袋、などがあります。
扇子=席入り、床の拝見、挨拶のときなど、膝前に置き用います。
帛紗=点前で道具を清めるときなどに使う。使帛紗ともいい、服紗、袱紗、不洗布などとも書きます。
男性は紫、女性は朱(緋)もしくは赤を原則使用します。
これも流儀により、大きさ、色、文様に違いがあるので注意しましょう。
古帛紗、出帛紗=道具に添えて出したり、拝見のときなどに使用します。
流儀により、使用するのに、出帛紗、古帛紗の違いがあるので注意します。
懐紙=菓子をいただくときに使用します。
大きさにより男性用と女性用があります。
原則、流儀による違いはありませんが、種類が多くあるので最初は無地の物が無難でしょう。。
菓子切、楊枝=
菓子をいただくときに使用します。象牙や、金属製の物、竹製品など様々です。
楊枝入れに入れて携行しましょう。
帛紗挟=
茶席に入る際、上記のものを一つにまとめる袋用の物。
数寄屋袋=
茶席に入る際、上記のものを一つにまとめる帛紗挟みより大きめの物入れ。
などがあります。
点ててみる。飲んでみる。出してみる。
自宅でお抹茶を。
茶湯に触れるのは教室だけ、なんて寂しいと思います。せっかく稽古をしたなら、自宅でも点ててみて、飲んでみて、誰かにも飲ませてあげて下さい。
ここでまず必要なのは「茶筅(ちゃせん)」と「茶漉し(ちゃこし)」と「おいしいお抹茶」。
「茶碗や茶杓はどうするの?」大丈夫、ご飯茶碗やスプーンでも代用は可能です。でも茶筅がなければお茶は点てられません。
「茶漉しは「紅茶の茶漉し」でも代用できるって聞いたけど?」その通りですが、その都度ふるいながら茶碗に入れるならそれでもいいのですが、いっぺんにふるって、また買ってきた缶に戻すのでは篩った意味がありませんし、缶は小さいので溢れてしまってりします。
「茶漉し缶」はある意味一生物。とりあえず茶の保管も出来るので、一個は持っていましょう。そして「おいしいお茶」新鮮で味の良いお茶を選びましょう。
さあ、これさえあれば、お茶は飲めます。「・・・なんだか雰囲気が出ないんですけど?」そう感じたらあなたも立派な茶人の仲間入り。次の項目でお得な茶道具の揃え方をお話ししましょう。